働き方が多様化するなか、「コワーキングスペース」が注目されています。さまざまな業種で働く人が集まるコワーキングスペースですが、そもそもどのような役割と機能があるのでしょうか。今回はコワーキングスペースの概要はもちろん、どんな人におすすめのスポットなのかなどについて詳しくお伝えします。
コワーキングスペースの役割
基本的な利便性をはじめとして、コワーキングスペースが果たす役割は一般的なオフィスとはまったく異なるものです。ここではコワーキングスペースの機能や役割について見てみましょう。
コワーキングスペースの基本的な機能
コワーキングスペースはフリーアドレスが基本で、自分の座席があらかじめ決まっているものではありません。カフェやレストランのように、空いている席から先着順で利用でき、利用可能なスペースであれば自由に席を選択できます。一部のコワーキングスペースでは固定席を提供しているところもありますが、一般的なフリーアドレス制と比べて使用料は高くなる傾向があります。
コワーキングスペースの多くは会員専用のWi-Fiを設置し、指定のパスワードを入力することでインターネット回線の利用が可能です。また、郵便物・宅配便の受け取りや法人登記ができるといったオプションを設定するところもあります。コピー機やFAXなどのOA機器が常設されているため、必要に応じて使用できるのも魅力です。コワーキングスペースは通常のオフィスのような機能を有しつつ、自由度の高い施設と言えます。
起業仲間と交流するチャンスがある
コワーキングスペースでは、共有スペースを利用する人同士の交流がしやすいという利点もあります。サービス会社によって条件は異なりますが、なかにはコワーキングスペース主催の交流会が定期的に開催されるところもあります。異業種で活躍するフリーランスや個人事業主、起業家などが集まり、人脈も広がることでしょう。出会いのなかから、取引先が決まったり、コラボでの事業に発展したりと、それぞれの適性や得意分野を生かした新たな事業に参画する可能性も高まります。
通常、異業種の人と交流するためには、異業種交流会のような外部のイベントに参加するといった方法が主流です。しかし、コワーキングスペースなら、利用者同士が自由に交流できるため、時間的な制限もありません。多くの交流会に出席しようと思うとそれなりの参加費も必要ですが、コワーキングスペース利用者同士の交流であれば、利用料以外の出費もさほどかからないものです。起業仲間が集まる機会を求めている人にとって、コワーキングスペースは重要な役割を果たしていると言えるでしょう。ただし、利用者のすべてが必ずしも交流を求めて利用しているとは限りません。人脈がつながるチャンスが多いのは事実ですが、過度な期待はしないようにしましょう。
コワーキングスペースはこんな人におすすめ
コワーキングスペースは、起業した人だけでなく、これから起業を考えている人であっても自由に利用できます。独立している人でなくても、一時的に本業のサテライトオフィスとして利用するのもよいでしょう。そんななかで、コワーキングスペースの特徴をより活かせる人とはどんなタイプなのか、また、その活用方法について考えてみましょう。
起業して間もない人
コワーキングスペースは通常のオフィスに比べて、大幅に初期費用が抑えられるという特徴があります。シェアオフィスもコスト削減には役立ちますが、まずは自分ひとりで事業を始めるという場合には、短時間でも利用できるコワーキングスペースから始めてみるのもよいでしょう。起業仲間も多いため、先輩起業家から話を聞く機会も増えるはずです。作業スペースとしてだけでなく、人脈を広げたいといった希望もかなえられます。また、これから法人化を目指す人や、すでに法人として起業している場合には、登記が可能なコワーキングスペースを選ぶのがおすすめです。
副業として事業を始めた人
本業を継続しつつ、副業として週末起業を始める人も増えています。職場とプライベートをしっかり分けつつ、集中できる環境が欲しい人にとってもコワーキングスペースはおすすめです。コピー機のような大型機器を個人で用意する必要もなく、本業と混同させるような不安もありません。
コワーキングスペースは1ヶ月単位での契約だけではなく、1日単位、数時間単位での一時利用が可能なところが多いため、本業後の時間だけといった利用が可能です。
事業の協力者を探している人
コワーキングスペースにはさまざまな業種の人が集まっているため、幅広い交流が期待できます。自身の事業を発展させるために求めている人材を見つけるきっかけも多くあります。一部のコワーキングスペースには、利用者のプロフィールを紹介するコーナーや冊子などが用意されており、希望する人材と気軽にコンタクトできるような仕組みも整っています。
仮にコワーキングスペース内で求める人材と出会えなかったとしても、交流を深めるうちに新たな人脈ができ、最終的に理想とする協力者にめぐり合える可能性もあるでしょう。反対にあなた自身のスキルを求めるほかの起業家もいるかもしれません。業種やスキル、得意分野が異なる人同士が集まることで、人材のマッチングにつながる役割を果たしているのもコワーキングスペースの大きな特徴です。
一刻も早く事業を始めたい人
コワーキングスペースは通常の一般賃貸オフィスと比べて、スムーズな利用契約ができます。たいていの場合、空きがあればすぐにでも登録が可能でしょう。作業環境が整えば、起業をあと押しすることにもつながり、早い段階で事業を始めることができます。
仮に空きがなかったとしても、一時利用の席は空いているケースも少なくありません。今すぐに何かの事業を始めたい人にとって、気軽に利用できるコワーキングスペースは独立開業の第一歩として有効です。
外出先で効率よく仕事を進めたいビジネスマン
通常は勤務先のオフィスで仕事をこなすビジネスマンであっても、出張や営業先といった外出時に書類を作成したり、資料を確認したりする作業が発生することもあるでしょう。そんなときにもおすすめなのが、コワーキングスペースの利用です。時間単位での一時利用ができると同時に、仕事に必要な環境が整っているため、スキマ時間であっても作業が進みます。また、いつものオフィスから離れて、気分を変えるためにも、コワーキングスペースは最適な環境といえるでしょう。
コワーキングスペースをうまく活用するために
コワーキングスペースはオフィス維持にかかるコストの削減に役立つだけでなく、さまざまな人との交流が生まれやすいという特性とメリットがあります。オフィスに何を求めるのかは人によって違いますが、将来的な事業拡大に向けて、コワーキングスペースだからこそ得られるメリットを十分に活用してみてはいかがでしょうか。
参考:
- 5つの違い(レンタルオフィス・シェアオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィス・サテライトオフィスの違い)|社会人の教科書
- 初めてのコワーキングスペース利用の前に知っておきたいメリット・デメリット8選|LIG
+OURS(プラスアワーズ)編集部
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