オフィスにはさまざまな役割があります。しかし、起業して間もない時期に大きなオフィスを借りることはリスクが大きく、資金繰り考慮して選ぶ必要があります。自宅やカフェなどで仕事をすることもできますが、法人登記も考えると賃貸住宅では難しいケースもあるでしょう。そこで今回は、起業間もない時期にどのようなオフィスがおすすめなのかを紹介します。
起業直後に最適な仕事環境はさまざま
起業をしてフリーランスや個人事業主になると、まずは自宅で仕事を始めるという方が多いものです。業種によっては自宅以外にもカフェやレストランなど、場所を問わずに作業できるかもしれません。まずは固定のオフィス以外での仕事環境を選ぶメリット・デメリットについて確認してみましょう。
自宅で仕事をするメリット・デメリット
自宅で仕事をする場合の大きなメリットは、まずオフィスの賃貸にかかるコストが不要なことでしょう。また、慣れ親しんだ環境のため、精神的に落ち着くという方も多いかもしれません。パソコンやインターネット回線はもちろん、事務用品といった必要な備品がそろっていることも、自宅で仕事をする際に有利な点と言えるでしょう。しかし、自宅での作業は、かえって集中力が途切れやすくなるというデメリットもあります。自宅の固定電話に仕事以外の連絡が入ったり、急な来客があったりすると、その都度、作業を止めて対応を迫られることもありえます。小さな子供がいれば、何かと手を取られてしまい、仕事がしづらい状況になることもよくあるでしょう。さらには、リラックスしやすい自宅だからこそ、ついつい休憩が長引いたり、趣味のアイテムが目についたりして、誘惑が多い場所でもあります。自宅での仕事は、気軽に始められる一方で、作業が中断しやすく、集中しづらい環境といえるでしょう。
カフェやレストランで仕事をするメリット・デメリット
カフェやレストランなどの場合は、自宅とは違い緊張感も得られます。周囲の目もあり、仕事に集中しやすい環境と言えるかもしれません。自宅以外の場所で仕事をすれば気分転換にもなり、新たなアイデアが生まれやすいとも言えます。しかし、普段とは違った環境であるがゆえに、デスクや椅子が体に合わなかったり、周囲の会話がうるさすぎたりして、気が散ってしまいやすい要素が多いのも事実です。
起業後にオフィスが必要な理由
事業規模が大きくなるにつれて本格的なオフィスを構える企業がほとんどです。では、そもそも企業はなぜオフィスを構えるのでしょうか? オフィスの果たす役割はワークスペースとしてだけでなく、ほかに「法人登記場所の確保」や「セキュリティー管理」、「従業員同士のコミュニケーション場所」といった機能もあります。起業後にオフィスを持つことをおすすめする理由として、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
法人登記の場所が必要
法人化する際には、まず登記場所の住所を提示する必要があります。このとき、一般の賃貸住宅ではオフィスとしての利用を禁止している場合もあるため、自宅以外の住所を登録した方が安心です。
フリーランスや個人事業主の場合は、登記をせずとも活動することはできますが、収益や事業規模が大きくなると法人化を検討する機会も出てきます。個人事業主と法人とを比較すると、やはり信用という面において法人の方が高い信用力があると見なされるもの。法人化した際の登記場所を確保するという意味でも、オフィスを構えることを検討しておきたいところです。
セキュリティーの問題
また、事業において機密情報や個人情報を扱う場合は厳重なセキュリティー管理が必要です。自宅を事務所として設定している場合には、家族が部屋に立ち入ってしまい、うっかり重要なデータや書類が破損してしまうという可能性もあり得ます。仕事に集中できる環境というだけでなく、不特定多数の人に業務に必要な情報を触らせないという意味でも、専用のオフィスを構えることでリスク回避ができます。
従業員同士のコミュニケーションが密になり仕事が進めやすい
事業規模に応じて従業員の数が増えてくると、物理的に距離が近い空間の方がコミュニケーションをとりやすく、仕事を進めやすいというメリットがあります。起業直後の段階から多くの従業員を雇うケースは少ないかもしれませんが、事業拡大に合わせてオフィスの規模を大きくする企業がほとんどです。
起業直後にはシェアオフィスの活用がおすすめ
事業を始めるうえでオフィスを構えるメリットは大きいものの、起業直後は資金繰りや事業規模も考慮してできるだけコストを低く抑えたいものです。しかし、先述したように賃貸住宅などの場合、自宅を法人登記できないケースも多く、やむを得ずオフィスを借りなければならないこともあるでしょう。
そんなときにもおすすめなのが、シェアオフィスの活用です。シェアオフィスにはさまざまなメリットがありますが、今回は3つのポイントに絞ってお伝えしましょう。
月額費用、初期費用が安い
企業にとって大きな出費となるのが、オフィスの賃貸料と初期費用です。一般住居よりも面積が広く、事業用としての賃貸ともなれば賃貸料も割高になります。立地や環境によって異なるものの、敷金や礼金、仲介手数料といった初期費用だけで百万円単位の出費になるケースも珍しくありません。
売り上げが安定しづらい起業直後には、資金的なリスクを避けることも考える必要があります。その点、シェアオフィスであれば通常の賃貸契約に比べて月々の利用料が安い傾向にあり、敷金等の負担もないことも多く、初期費用が抑えられます。家賃や初期費用を抑えることができれば、必然的に事業への投資や資金繰りにも余裕が生まれ、収益アップが期待できるのではないでしょうか。
事業拡大に合わせてフレキシブルに対応できる
事業規模が大きくなってくると従業員の数も増えてオフィスが手狭になってしまうものです。急成長をしているスタートアップやベンチャー企業のなかには、1年や2年という短いスパンでオフィスを引っ越すケースもあるようです。
しかし、せっかく高い初期費用を出してオフィスを借りたにもかかわらず、短期間で入居と退去を繰り返していると移転費用だけでも大きなコストとなってしまいます。反対になかなか事業が軌道に乗らず、撤退を余儀なくされる可能性もゼロではないでしょう。そうした将来的な可能性を考えると、フレキシブルに利用できるシェアオフィスなら、状況に合わせた対応が可能です。
法人登記も可能
シェアオフィスの多くは法人登記場所として住所を使用できます。最近ではバーチャルオフィスという登記住所のみを貸し出すサービスもありますが、実際のワークスペースがないため、顧客からの信頼度が下がりやすいのも事実です。シェアオフィスは実在するスペースであり、顧客や取引先を招いた会議もできるため、周囲からの信用を高める意味でも有効と言えるでしょう。加えて、立地の良いシェアオフィスを登記場所として利用できれば好感度も高まります。さらに、都心部にオフィスを構えているという自信は、事業に対するモチベーションアップにもつながることでしょう。
事業規模や目的に応じた環境を選択する
起業したばかりのタイミングでは、必ずしもオフィスを構える必要がないケースもあります。しかし、自宅やカフェといった環境に比べると、オフィスは最も仕事に適した環境であることは間違いありません。なかでも最小限のコストで借りられるシェアオフィスは、起業直後におすすめの選択肢のひとつ。仕事を進めるうえでどのような環境が最適であるか、事業規模や目的、そしてコストなどを念頭に置きながら検討してみましょう。
参考:
+OURS(プラスアワーズ)編集部
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