政府主導での働き方改革が進むなか、時間や場所にとらわれない働き方が注目されています。なかでも人気を集めているのがコワーキングスペースの利用です。しかし、コワーキングスペースの存在は知っていても、具体的な料金体系がよく分からない方も多いかもしれません。今回は、コワーキングスペース利用のシステムのなかでも耳慣れない「ドロップイン」を中心に、そのメリットやデメリットなどを詳しく解説します。
コワーキングスペースの料金体系
はじめに、コワーキングスペースの利用方法とその料金体系の違いについて確認してみましょう。利用するコワーキングスペースによって、具体的な利用システムは異なりますが、特に代表的な「月額契約」と「ドロップイン」の違いについてお伝えします。
月額契約とは
月額契約とはその名のとおり、月ごとにかかる固定料金を支払って契約し、スペースを利用する方法です。ただし、月額契約を結んだからといって、無制限に利用できるとは限りません。さまざまな条件が設定されることも多く、例えば、平日のみの利用に限定されていたり、土日祝日のみの利用契約であったり、また、月に○回まで利用できるといった条件があります。具体的な契約条件はコワーキングスペースによって異なります。
また、同じ月額契約でも、固定席プランが提供されているところもあります。通常のオフィスのように自分専用の席を確保できる契約で、コワーキングスペースが混雑していても確実に利用できるのがメリットです。
ドロップインとは
一方、ドロップインとは一時利用のことで、月ごとの契約ではなく、コワーキングスペースを利用したいときにその都度料金を支払うシステムになっています。その多くは「○時間まで○円」、「1日使い放題で○円」といった料金設定が一般的です。
コワーキングスペースによっては、月額会員用のスペースとドロップインで利用できるスペースが分けられているところもあります。ドロップインの使い方はさまざまで、使用頻度に合わせて自由に使いたい人もいれば、月額契約を結ぶ前にトライアルとしてドロップインから利用を始める人もいます。
ドロップイン利用のメリットとデメリット
ここであらためて、「ドロップイン」を活用する際のメリットとデメリットを見てみましょう。
ドロップインのメリット
まずはドロップインを活用する際のメリットを4つ紹介します。
- 使いたい当日に利用できる
ドロップインは、初めてコワーキングスペースに訪れた人でも手軽に利用できるのが大きなメリットです。これからコワーキングスペースの利用を考えている人はもちろん、作業しやすい環境を探している人もお試し感覚で気軽に利用できます。 - カフェ感覚で利用できる
カフェやファミリーレストランなどでも作業はできますが、周囲の会話や雑音が気になって集中できなかったり、電源やWi-Fiが確保できなかったりすることがあります。作業環境として提供されているコワーキングスペースであれば、電源を自由に利用できるだけでなく、Wi-Fiも完備されているため、安心して作業できるでしょう。ドロップインは月額契約とは異なり、面倒な入会手続きの手間も省け、カフェ感覚で利用したいときにすぐに利用できるというメリットがあります。 - 旅行先や出張先でも利用できる
月額契約は特定のコワーキングスペースに限定されるため、移動先で利用したくてもできないというデメリットがあります。ドロップインで利用すれば、場所を選ばずに、旅先や出張先でも立ち寄れるため、いつでも作業環境が整います。 - 必要な時間だけ利用できるため無駄が少ない
月額契約をしたとしても、タイミングが合わず、コワーキングスペースを利用する回数がほとんどないという可能性もあり得ます。副業のためにと月額契約したものの、本業が忙しくて利用する機会がなかったということもあるでしょう。それでは、せっかくの月額契約もコストがかかるばかりで無駄になってしまいます。コワーキングスペースの利用頻度が不確定な場合や、一時的な作業環境を低コストで確保したい場合には、ドロップインで利用した方が効率がよいでしょう。
ドロップインのデメリット
一方で、ドロップインにはデメリットもあります。
- 時間当たりの料金が高い
コワーキングスペースを長時間利用する場合、ドロップインは月額契約と比べて、割高になりがちです。フリーランスや個人事業主が、仕事の拠点としてコワーキングスペースを利用するのであれば、月額契約にした方がコスト面での負担が減ることになります。 - 席に空きがないと利用できない
コワーキングスペースをドロップインで使いたくても、肝心の席に空きがなければ利用できません。特に人気のあるコワーキングスペースは、曜日を問わず多くのユーザーが訪れるため、席が空かないこともあり得ます。ときには座席に十分な余裕がなく、仕事に集中することが困難になってしまうこともあるでしょう。確実に席を確保したいのであれば、利用頻度を考えながら、月額契約の固定席プランにするか、シェアオフィスを利用した方がよいでしょう。
最適なコワーキングスペースの使い方
コワーキングスペースにはドロップインと月額契約がありますが、どちらが自分に合っているのか悩んでいる方も多いのでは? いくつかの具体例を示しながら、おすすめのタイプを紹介しましょう。
ドロップインの利用が向いている人
ドロップインの利用が向いている例として、以下のようなケースが挙げられます。
- 出張や旅行に出かける頻度が高い人
出張や旅行に出かける機会が多く、特定のコワーキングスペースだけを利用するのが難しい人は、ドロップインでの利用が向いています。月額契約を結ばずに、外出先で必要なときに都度利用できるのはドロップインの最大の強みです。 - 普段は自宅や職場を中心に仕事をしている人
出張や旅行に出かける機会は少ないものの、職場や自宅などで主な作業を行っている人は、そもそもコワーキングスペースの利用頻度が少なくなります。気分転換や異業種との出会いを求めて利用するのであれば、月額契約よりも、適時利用できるドロップインの方が適しています。
月額契約での利用が向いている人
一方で、毎月特定のコワーキングスペースを作業場所として利用する人は、ドロップインよりも月額契約での利用が向いています。
自宅開業をしている個人事業主やフリーランスのなかには、自宅以外で落ち着いて作業ができる環境を用意したいという人もいることでしょう。自宅以外に自分専用の職場やオフィスを持ちたいけれど、できるだけ低コストで活用したいといった場合には、コワーキングスペースの月額契約がおすすめです。毎日ドロップインで利用するよりも時間当たりの料金が安くなり、固定席プランを選択すれば、席がなくて作業ができないといったデメリットも解消されます。
用途に合わせてコワーキングスペースを活用してみよう
コワーキングスペースは使い方によって最適な料金プランが異なります。ただし、コワーキングスペースによって提供されているプランや利用可能人数も限られているため、用途とコストを比較しながら検討することが大切です。長期的な利用を考える場合でも、ドロップインを活用して環境を確認してみるとよいでしょう。ドロップインのメリットを最大限に生かしながら、自分に合ったコワーキングスペースを探してみましょう。
参考:東京比較表|com
+OURS(プラスアワーズ)編集部
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