東京都内でオフィスを借りる場合、好立地では家賃が高額のことが多く、家賃の安い物件を選ぶと利便性が悪い可能性があるため、選択肢に悩んでしまうことがあります。コストを抑えた、使いやすいオフィスのひとつとして「シェアオフィス」があります。最低限の作業スペースを確保するとともに、開業時のコスト削減にも大いに役立つシェアオフィス。今回は、東京都内でシェアオフィスを利用する場合にどのようなポイントで選べばよいのかを具体的にお伝えしましょう。
シェアオフィスを選ぶ基準その1:立地の利便性
東京都内でシェアオフィスを構える場合、最も重要なのが「立地」です。事業の拠点として利用するからには、立地面での妥協はできるだけ避けたいところ。具体的な例を挙げながら、立地選びのポイントを見ていきましょう。
最寄り駅からの距離
アパートやマンションなどの住宅選びでも共通する条件ですが、ほぼ毎日通う場所だからこそ、できるだけ駅から近い場所のシェアオフィスを選択したいものです。
特に東京都心では駅から直通で入ることのできるビルもあり、雨の日や炎天下のなかでも快適に通勤することができます。シェアオフィスも同様に駅近が便利であるため人気が高く、迷っているうちに予約が埋まってしまうことも少なくありません。
あらかじめ候補を絞って優先順位を決めておき、空きがあるシェアオフィスを見つけたらできるだけ早めに契約を進めるとよいでしょう。ただし、立地が良いシェアオフィスは一般のテナント利用と同様に費用も高額であることが多いため、予算を考慮した判断が大切です。
主な取引先との距離
取引先との商談や打ち合わせなど、対面でのミーティングが頻繁にあるような業種では、拠点となるシェアオフィスが取引先のオフィスに近い場所を選ぶと便利です。
オフィス間の距離が物理的に近いということは心理的にも安心感を与えることになり、その分ビジネスチャンスも広がる可能性が高まります。特にライバル企業がひしめく業種であればあるほど、何かあればすぐに飛んで行ける距離は大きなアドバンテージになります。
自宅からの通いやすさ
オフィスの立地は、自宅からの距離や移動にかかる時間も考慮して決めたいところ。東京都心の場合、電車の混み具合や乗り換え回数、乗車時間も考慮しながら選びましょう。移動時間が長くなればなるほど、シェアオフィスに通うこと自体が負担になり、ビジネスにも影響をする可能性があります。
ターミナル駅からのアクセスの良さ
ビジネスを拡大していくためには新規の顧客や取引先の開拓が欠かせません。都市の中核となるターミナル駅は誰もがアクセスしやすく、立地の良さからシェアオフィスの数も多い傾向にあります。必然的にさまざまな業種の人がシェアオフィスを利用することにもなるため、ビジネスチャンスも広がります。
シェアオフィスの選び方その2:エリアの特性を考える
同じ東京都内であっても、エリアごとに特性が異なります。ビジネスの事業分野によって、関連する企業のオフィスが集中する傾向があるため、より関連の深いエリアを選ぶことも大切なポイントです。次に東京都内の特徴的なエリアについてまとめました。これから始めるビジネスは、どのエリアが向いているのか検討してみましょう。
東京駅周辺
丸の内、八重洲をはじめとした東京駅周辺は、日本の名だたる大企業が集中するエリアです。大手都市銀行や保険会社、総合商社、大手通信企業などの高層ビルが林立する、日本を代表するオフィス街といえるでしょう。このエリアにあるシェアオフィスは、大企業とパートナー契約を締結するような業種に適しています。
また、乗り入れしている路線の多い東京駅から近いため、遠方へ取引先や顧客がいる場合にもアクセス抜群。さらに治安も良く、ビジネスに集中するには最適なエリアでもあります。
新宿
日本最大級の繁華街をもつ新宿は、シェアオフィスの数が豊富でバラエティにも富んでいます。最低限の設備で格安に利用できるところから、最新設備が整った高級感あふれるシェアオフィスまで、あらゆるニーズに対応できるスタイルがそろっているのが特徴的です。事業のコンセプトに合わせて、カスタマイズされたシェアオフィスを探したい方にはオススメの立地といえます。
また、新宿駅や大久保駅周辺には専門学校も多く、学生起業時のオフィス準備にも最適なエリアです。加えて、新宿駅は日本最大のターミナル駅でもあり、立地の良さは他のエリアを圧倒しています。国籍を問わず多くの人が行き交う新宿は、あらゆる業種の起業を後押ししてくれる街でもあります。
渋谷・五反田
渋谷と五反田は特にIT系のベンチャー企業やスタートアップ企業が多いエリアです。起業を目指すうえで新しいビジネスアイデアやインスピレーションをかき立ててくれる場所でもあり、シェアオフィスにも起業を目指す多くの人たちがやってきます。起業仲間を探したり、支援者やパートナー企業を探したりしたい場合には最適な街といえます。
また、近年注目を集めているのが五反田エリアです。アメリカのシリコンバレーにちなんだ「五反田バレー」という言葉が生まれるほど、官民一体となって起業を支援している地域といえます。
赤坂・六本木
赤坂や六本木エリアは、特にメディアやIT系に強い企業が多い傾向があります。民放大手のテレビ局やラジオ局はもちろん、国内外のIT系企業大手が集中しており、スタートアップとして成功した企業が六本木に進出するという例は少なくありません。大手IT企業をパートナーとして成長するビジネス展開を考えている人には最適なエリアといえます。
また、国際色豊かなエリアとしても知られており、日本人以外のビジネスパーソンが非常に多いことも特徴の一つです。今後グローバルにビジネス展開したい方にもお勧めできるエリアです。
シェアオフィスの選び方その3:希望する快適空間
シェアオフィスにはさまざまなプランがあり、それぞれ個性を活かした特徴的なサービスを提供しています。シェアオフィスをより快適に利用するために、代表的な2つの形態から、より使いやすいタイプを選んでみましょう。
- 個室タイプ
ドア付きの仕切られた個室にデスクが配置され、自分専用の空間として利用できるのが個室タイプです。シェアオフィスとしての料金は比較的高めですが、周囲の環境に対して気を遣わずに使用できるため、より集中して仕事に取り組めます。 - コワーキングタイプ
個室タイプとは対照的に、オープンスペースに大小さまざまなデスクが配置され、自由な席に座って作業ができるのがコワーキングタイプです。さまざまな人との交流が容易で、刺激を受けられるのがコワーキングタイプの醍醐味です。
それぞれに異なる特徴があるため、自分が働きやすい空間を選ぶのがポイントです。スタイル選択と同時に、必要な作業スペースが確保されているか、居心地の良い環境が整っているのかなどをチェックしながらより良いシェアオフィスを選んでみましょう。
インキュベーション事業を取り入れたシェアオフィス
これから起業したいのであれば、インキュベーション事業を取り入れているシェアオフィスを選ぶのもおすすめです。インキュベーション事業とは、起業のサポーター的な取り組みであり、具体的には起業に関する質問ができたり、パートナーとなってくれそうな人や企業を紹介したりしてくれるというサービスを提供します。ビジネスにつながるアイデアはあるのに、具体的に何から手を付けてよいかわからないという人には、良き相談相手となる心強い味方です。
おわりに
地方と比べて、東京都内におけるシェアオフィスの数は圧倒的です。単純にコストや外観、内観だけで選ぶのではなく、エリアごとの特徴を知ることで、ビジネスチャンスにつながりやすいシェアオフィスを選ぶことができるはず。働き方改革によって今後ますますシェアオフィスの需要は高まってくると予想されています。ビジネスの拠点となる自分の城として、後悔しない最適な場所を選びたいものです。
参考:
+OURS(プラスアワーズ)編集部
最新記事 by +OURS(プラスアワーズ)編集部 (全て見る)
- 会議室不足の解消につながる方法とは?場所選びで創造的なミーティングを - 2020年2月25日
- オープンイノベーションを実現するための課題とは?コワーキングスペースが注目されるワケ - 2020年1月30日
- 創業時ならではの悩みを解説!専門家に相談できるオフィスを選んでみよう - 2019年12月23日